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風景画

第70章  麗月 ②




見知らぬ街に紛れた

異邦人のようなあてどなさで

交差点を渡っていた



かつてあれほど馴染んだ景色…



映画館の隣にある喫茶店

上映開始までの時を過ごした



小さな花屋は画廊の並び



夜毎カクテルの味を覚えたバー



すべては

鮮やかな舞台転換のように

姿を変え

あなたと歩いてみたかった街並が

今はもう、時の彼方



ただ

空だけがあの時のまま

広がっていた…







(了)



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