テキストサイズ

風景画

第75章  poemtory 〜小夜鳴鳥と…




闇と溶け合い広がる海の

あてどなさ…



堪えきれずに肩を抱けば

小さな震えが心を揺らし

強く抱きしめ夜空を仰ぐ



ため息のように光を零す星明かり

ひとつの調べが

ふたりの胸を過ぎてゆく



・・・スターダスト



あの夜

おまえがステージで歌っていた



甘くかすれる声

遠くを見つめる瞳…

グラスを手にするより早く

魅せられた





陽の似合う本当の海が見たい…と

その呟きを

口づけで受けとめれば

夜がさらに深くなる



…これが最後の恋



最初は失い

次は別れる

三度目は、結ばれるだろう



明日まで待つなど意味はない

このままふたり旅に出ようか…



腕の中

頬を濡らしたおまえが、愛しい







(了)



ストーリーメニュー

TOPTOPへ