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風景画

第76章  麗月 ⑤




月明かりに浮かぶ小さな影が

濡れたように煌めく屋根を渡る



秘やかな急ぎ足にまとわる夜の風

しなやかな尾が優雅に揺れる



…ふいに

投げ掛けられた視線の先

金色の瞳に

あの人へのもの想いを

見抜かれた心地して…



目を伏せれば

ほの白い闇が吐息をとかす







(了)



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