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風景画

第7章  七夜月 ③




驟雨の傘の内

あなたの名前を雨音に乗せてみる

何度も 何度も



重ねるごとに高まる狂おしさ

甘い胸の痛みに

吐息までも朱に染まる



堪えかねて

思わずかしげた傘

髪に 頬に

雨はしきりに降りかかり

けれど

焦がれる想いは冷めないまま

ただ…ただ 立ちつくす







(了)



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