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conqueror

第2章 玩具

家を出る直前に、スイッチを入れた。

あぁ。

体が痺れる。

テープで固定したけれど、落ちてしまうんじゃないかと、不安になる程の振動。

一歩一歩、進むたびに、足が不自然に震えている。

止まっていると、目立ってしまうので、なるべく早く歩くようにした。

周りを見る余裕もない。

駅前の広場に咲いている花も、天気が良く澄み渡った青空も。

ただ、すれ違う人ばかり、気にしていた。

駅に着くと、これから電車に乗ることを、メールした。

『電車に乗ったら座らずに、ドアの横に立って。』

彼の指示通り、電車に乗ると、ドアの横に立った。

今日は風が強いので、ドア付近にいると、スカートが風でめくれそうだった。

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