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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第33章 このままもっと【翔・潤】

嵐が活動を休止してから、もう20年以上。

40歳半ばまで活動したが、だんだんそれぞれメンバーは個々の道を歩み始めた。

ニノは俳優の道に。

リーダーは振付と芸術活動に。

相葉さんは、飲食店を何件も経営している実業家に。

僕は、事務所の若手の舞台のプロデュースを。

翔さんは、報道の道に進んだ。

もう、みんな60歳をとうに過ぎ、70際に手がかかろうとしている。

嵐なんて、もう誰も覚えていない。

時々、テレビの懐メロの番組で取り上げられるだけで。

もう、僕たちは立派なおじいさんだ。

ニノとリーダーは独身だが、相葉さんには孫がいる。

僕は、長年つきあった女優の真保と結婚したが、子供には恵まれなかった。

翔さんは、独身をつらぬいた。

翔さんは、5年前、海外に取材旅行に行った時、テロに巻き込まれた。

レストランで食事をしていたら、ゲリラ軍がいきなり爆弾を投げ入れてきた。

翔さんは頭を強く打ち、脚を怪我した。

命はとりとめたものの片脚が動かなくなって、杖や車椅子での生活を余儀無くされた。

そして、記憶力に障害が残った。

もの忘れがひどくなり、昔のことと現在のことの区別がつきにくくなった。

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