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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第33章 このままもっと【翔・潤】

次の日は、街に出かけた。

あの時五人で写真を撮った大通りに行ってみた。

潤「懐かしいね。」

あの時は、街中に嵐のフラッグがはためいていて、その中をゲリラ的に車を降りて写真を撮った。

ファンや現地の人々に声をかけられ、軽やかにあいさつをしてすれ違ったあの時。

現在、華やかな街を歩くこの老人二人に声をかける人はいない。

ランチは、ハンバーガーを食べた。

プレートいっぱいに盛られたバーガーにポテトにオニオンリング。

潤「THE、だね。」

そう言う僕に、翔さんは少し目尻を下げて微笑んだ。

うず高くパティや野菜がはさまれたバーガーを、翔さんにはナイフで切り分けて食べやすくしてあげた。

僕も翔さんも、アメリカンサイズのボリュームのあるバーガーは、とても全部は食べられなくなっていた。

嵐の中ではよく食べる二人だったのに。

潤「僕たちも、歳をとったね。」

それから海岸線をドライブした。

開け放した窓からは、絶えず潮風が吹き込んだ。

潮風は、翔さんの白い髪をすいては通り過ぎて行った。

翔さんの目はキラキラと輝いていた。

五人で過ごしたあの時のように。

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