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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第33章 このままもっと【翔・潤】

僕も翔さんと一緒にバスタブに浸かった。

翔「すまない…。」

翔さんは、申し訳なさそうに、僕に謝った。

潤「気にしないでよ。大丈夫だから。」

実際、僕は全然嫌じゃなかった。

他の人には見せて来なかった翔さんの弱い部分を、自分だけが知っている。

それが嬉しくてたまらなかった。

潤「ねえ、翔さん。ハグしてもいい?」

翔さんは、驚いて目を丸くした。

しばらくそうやって驚いた顔をしたが、ため息をひとつついて、目を閉じた。

僕は、翔さんの体をそっと引き寄せた。

老人が二人、バスタブの中で湯に浸かり抱き合っているなんて、変な光景だ。

だが、僕はこの上ない幸せを感じていた。

翔さんが、僕の腕の中にいる。

あの当時、お互いにすれ違い距離を感じていた翔さんが、生まれたままの姿で僕の腕の中にいる。

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