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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第2章 タオル【潤】

『翔子は彼氏いるの?』

おネエさんの問いかけに翔さんは言った。

『翔子は…、いない。』


「翔さん、何言ってんだ?! 」

俺は、胸に何ともいえないモヤモヤが込み上げた。

『翔子は、いない。』
それはイコール『翔には、いる。』と公言していることにならないか?



『翔子は、結婚とか考えないの?』

『うーん、考えるわよ。でも私達の仕事って、結婚ってリスクじゃない?』



俺は目の前が真っ暗になる気がした。

翔さんは、結婚する気だ。

現実的に決まった話ではないんだろう。
それなら、事務所やメンバーと話し合いが持たれるはずだ。

いわば、翔さんの「決意表明」といったところか。
少しずつ彼女や結婚の話を匂わせて、足場を固めていく作戦か。

「そういえば、噂の女優とも共演してたな…。」

翔さんは、一歩を踏み出したんだ。

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