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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第2章 タオル【潤】

俺は、グラスに並々とワインを注ぎ、あおるように飲んだ。

タオルの甘いベリーの香りの謎が解けた。

今までおおっぴらにはしてこなかった彼女の存在を、翔さんはもう隠す気がない。

あの柔軟剤は、きっと彼女の好みなんだ。
彼女が買ってきたから、翔さんは柔軟剤の名前も知らなかったんだ。

謎が解けた瞬間、俺はこの甘い甘い香りがおぞましいものに思えてきた。

テレビから聞こえる翔さんのトークは、もう俺の耳には入らなかった。

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