
凍夜
第3章 花
~生きることが恥ずかしいと思ったあの日、私は、警察で事情聴取されていた。
誰も私がやったとは思っておらず、疑いの目を向けられることもなく、私は心の中でだけ罪の意識を感じていた。
ぽっかりと空いた、心の隙間は一生埋まらないのだと思っていた。
人に言えぬ、十字架を背負い、これから暗い道を歩いて行くのだとわかりきっていた。
しかし、そこにまた、あのおじさんが現れたのだ。
おじさんは、私が残した名前を書いたメモを見たらしく、事件をニュースで知り、私を探して警察にやって来たのだ。
「銀さんじゃないですか!これまた、どうして?」
刑事が驚いていた。
《銀さん?》
周りの刑事達も立ち上がり、皆、「銀さん、銀さん」呼んでいた。
どうやらおじさんは、警察に随分顔がきく人らしかった。
