
凍夜
第3章 花
「話が終わったら、俺はこの子と用がある。」
おじさんは、ダークグレーのスーツに身を包みヴィトンのアタッシュケースを手に提げた格好で私を待っていた。
私が近づくと、おじさんはサングラスを外してまた、あの笑うとクシャクシャになる顔で、「心配したぞ!帰るぞ!」と私に手を差し出した。
《おじさんにまた、会えて嬉しい。》
私は、おじさんと手をつなぎ警察署を後にした。
「今まで大変だったな。辛かったな。でも、これからは何にも心配いらないぞ。」
おじさんはそう言って、名刺を一枚私によこした。
