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凍夜

第4章 カタルシス


私が、トラックの助手席によじ登ろうとした時、雲が風に流れて月が覗いた。

《私は、恐ろしいことをしている……。》

月が私を見ていた。

私は、助手席に滑り込むとマサシを見た。

マサシは私の思いを察知したのか、優しい目をして一瞬だけ笑って見せ、直ぐにトラックを発車させた。

来た道同様に、峠を縫い、町を抜け、川を渡りひたすら海を目指した。

《悪いことをしている……。また殺しちゃった……。どうしよう……?》

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