凍夜
第6章 浸食
私とユキは昔、キャバクラで知りあった。
それはもう随分昔の話だ。
札幌のキャバクラというのは、関東にあるキャバクラとは違い、セクキャバを指す、もしくは、おっパブとかにも似ている。
だが、札幌のキャバクラの実態は店により異なり、ピンクサービスが期待できない店も当時はかなり存在した。
昔のキャバクラは、女性にとって優しく、お財布も満たされ、魅力的な職場だった。
衣装が過激な店が多いが制服として貸与されるので、仕事の経費が、0から始めることができて、バイト感覚でいられるのが気軽だった。
私とユキはビキニのお店にいた。
私は当時はアムラーで、小麦色の肌をして長い髪をたなびかせ、Tバックの尻を振っていた。
ユキは、白く澄んだ肌の色とフェミニンな印象が、小悪魔的だった。
私とユキは、100人以上のキャストを誇る老舗の大箱のキャバクラにいたので、なかなか顔見知りになれない環境だったけれど、たまたま行きつけのクラブが、同じだったので知りあった。