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凍夜

第6章 浸食


「そう言えばリナさん、僕が何で今夜ハーフムーンを選んだかわかりますか?」


その問いは本当に唐突で、抜群のタイミングだった。

私は少し酔っていたようで、反応が遅れた。


キレのいい切り返しが出来ず、しくじったと思った。

この手の話は、時に、情に訴え、深い所まで入ってくる。


相手に先に言わせた事を私は後悔していた。


男とは、切り札なくして語れない生き物なのかもしれない。

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