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凍夜

第7章 海溝



暮れなずむ空の底を紅いネオンがまたたき始めていた。


今日もまた、夜が訪れようとしている。


由美子は足早に人波をすり抜けて行った。


パパと地下鉄駅前のケンタッキーで待ち合わせしていた。

いつものおつかいを頼まれることはわかっていたけれど最近のパパは妙に勘繰り深く、イライラしている事が多かった。


待ち合わせに遅れると人前でもぶつことがあったし、ママもたまに顔を腫らしているのを目にした。


パパとママの関係は相変わらずズルズル続いていて切れる事はなく、マサシとかいう彼氏とはうまくいってないようで、ママは由美子の前でぼやくこともあった。

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