凍夜
第7章 海溝
「まぁまぁ、社長、神経質になるのもわかりますけど、今迄なんとかやってきたんですよ?これからだって何とかなりますよ!ワタシだって力になるよう頑張りますから!」
土屋はいつもの明るい口調でそう言って、キャビネットからCOOLを取り出して私に寄越した。
「一服して下さいよ。ワタシ何か食べる物買って来ますから、休んでらして下さい。」
土屋はクラウンのキーを手に取ると、出掛けて行った。
私はそれを見送ると一度窓の外を覗きブラインドを下ろした。
デスクに腰を下ろし、冷めてしまったコーヒーに口をつけた。
《そう言えば》
私はまた立ち上がると、サイドボードの奥に置かれたボトルを引っ張り出した。