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凍夜

第1章 氷雨



マサシの青い薔薇のタトゥーが、所在なげに私の右手と重なっている。


流す車のバックミラーに、後ろから連なる車のヘッドライトが滲んだ。

外を歩く人々のさす傘は壊れ、皆、背中を丸め歩きにくそうだった。

風が強くて、時折トラックが、すれ違いざま物凄い音をたてた。

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