ネムリヒメ.
第5章 シャンプーとアイスクリーム.
あ…そう言えば…
「葵くん…」
アタシの声に言い合っていたふたりが静かになって振り向く
「…アタシに何か用事があったんじゃなくて…?」
葵くんが部屋の前で待っていたコトを思い出して彼に尋ねる
「あっ、そうそう…シャンプー」
シャンプー!?
「ナギに、ちーちゃんのシャンプー頼まれたの」
「渚くんに!?」
脳裏に渚くんのとの一連のやり取りが思い浮かぶ
「だからちーちゃん髪質とか、よく見たくて…」
よく変わらずに首を傾げると、聖くんが捕捉してくれる
「あぁ…葵くん、美容師なの。だから、いっぱいワガママ言って色々やってもらいなよ♪ チャラいけど、腕は確かだから」
「っお前は一言余計なの」
「…事実を述べたまでなんだけど」
「あのねー…」
再びにぎやかになるふたり
そうなんだ…
だから渚くん…葵くんに頼んでくれたんだ
何にも言ってなかったのに………調子狂うな
「あっ、でも髪はさっきもう見たから大丈夫」
「ぇ、さっきって…」
あぁ…今、か………
納得したけど、顔が赤くなる
「明日の夜には用意してあげるね」
「ん…ありがとう」
葵くんにそう告げると、彼の笑顔は優しい笑顔に戻っていた