ネムリヒメ.
第5章 シャンプーとアイスクリーム.
ふたりとおやすみなさいをして別れ、ようやく自分の部屋に戻れたアタシ
「……なんだか疲れたな」
大きく息を吐き出して、ベッドにカラダを投げ出すように寝転んだ
スプリングが軋んで、ふかふかシーツがカラダを包み込む
アタシ…
いろんな意味でこれから大丈夫かな…
渚くんに葵くんに聖くん…
バクバクする鼓動がなかなか静かにならない
今日1日だけで、心臓が過労死しそうだ
その前に楓一色だった頭のなかが彼らに浸食されてる
もうごちゃごちゃになってて、脳ミソが先に過労死するかもしれない…
もう回らない頭のまま、しばらくボーッとしてからベッドからカラダを起こすと、アタシは荷物のなかから、おもむろに一冊のスケッチブックを取り出した
そして再びベッドに横になると、パラパラとめくっていく
あ…
ページをめくる手が止まる
あるページに描かれた可愛らしいドレスの絵
それは色とりどりの色鉛筆で
幼い子供が描いたお絵かきのような絵だった
「楓…」
大好きな人の名前を呼ぶ
目を閉じると、さっきまでの賑やかさが嘘のように静寂がアタシを包み込む
「早く帰ってきて…」
アタシはその絵を抱きしめながら
眠りへと落ちていった…