ネムリヒメ.
第6章 ホットミルク.
…………
再び渚がベッドの上で目を覚ます
…ふと横を見ると、そこには千隼の姿はなく
手を伸ばせば、そこにあるのはまだシーツにほんのり残る彼女の体温と甘い香り…
「………っ」
当たり前か…
渚は気だるいカラダを起こし、ベッドから降りてサイドテーブルに置かれたタバコを取ると火をつける
カチンとライターの蓋を閉じると、白く少し埃っぽい朝の日差しが差し込む静かな部屋のなかに
吐き出した煙が白く滞留してから消えていく
「………」
渚は壁に寄りかかりながら高い天井を仰いた
すると、フッと煙が風に流されてバルコニーの扉が開いていることに気がつく
渚は誘われるようにそちらへ近づいた
きらきらと光が舞う中目を細めて外を見る
「……っ!!」
すると渚は目の前の光景に、細めている目を見開き、一瞬息を止めた
だってそこには…
さわさわと吹く少し冷たい風に長い髪をなびかせ、光の中にたたずむ彼女の姿があったからだ