ネムリヒメ.
第6章 ホットミルク.
「千隼…」
渚の声に、千隼がゆっくり振り返る
日の光を浴びた白い肌は光を反射し、その顔からは彼女の表情は読みとれなかった
しかし、渚には涙の筋が光ったように見えて思わず彼女を腕のなかに閉じ込める
「なんでいんだよ…」
渚が千隼の髪に顔を埋める
「別に…」
胸のなかにいる彼女の小さな声がそう呟いて、渚のなかのなんらかの感情を掻き乱す
「お前…バカだな…」
「うるさい…」
渚のカラダに顔を擦り寄せながら千隼が呟く
「…ホットミルク…飲みたい………」
「ん…」
少し冷たい風が身をさらって、どちらからともなく身を寄せる
…同じソープの匂いがふたりを包み込んだ