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ネムリヒメ.

第7章 知らない自分.






朝食を食べ終わる頃、渚くんが席をたってアタシのところまでやってくる


「綺麗にしてもらえ」

「ん…」


彼は微笑みながらそう言うとアタシの髪を掬ってハラリと揺らしてダイニングを出ていくんだけど…





─アタシは全く気がつかなかった…





「…よろしく」


去り際に葵くんに向かって、斜め上から見下ろすように言い放つ渚くんと


「……」


そんな渚くんに目線だけをあげて鋭い視線をぶつける葵くん


アタシに対しては特に変わらない態度の彼らの絡んだ視線の先で、バチバチっと火花が散るような音がしていたコトに…


…そして、アタシのなかの鉄壁の楓ストッパーが徐々に緩んでいっているコトにも




─この時点では全く

気がつかなかったんだよね…





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