ネムリヒメ.
第10章 眠らない夜.
「うるさい…」
「「…………」」
病人のアタシの一言で静かになったふたりは、その夜 ずっと側にいてくれた
アタシは少し食事をとってから、渚くんの部屋のベッドにいた
彼は仕事を持ち帰ったらしくデスクに向かっていて、 聖くんは一緒にベッドにいてくれてパソコンでなにか作業をしている
水枕と一緒に額に冷たいタオルを当ててもらってるけど、薬は効いてるのか効いてないかわからないレベルで、眠りたいけれどカラダも痛いし息苦しい
「ちーちゃん、眠りな…それまでこうしててあげるから」
「ん…」
聖くんの手がそっと髪を撫でてくれて、しばらくするとその感覚の心地よさにだんだんと瞼が落ちてくる
「聖くん…」
「なーに?」
彼の優しい声…
「ありがと……」
アタシはそれだけ告げると、暖かく柔らかい泥の中にゆっくりと流れ込むように眠りに落ちていった