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ネムリヒメ.

第10章 眠らない夜.





聖くんの隣でうとうとしながら、しばらく時間がたったと思う


「ほーら 帰ってきたでしょ!?」


部屋の扉が開く音と聖くんの声で目が覚めた


………!!

ぼんやり霞む視界にはドラッグストアの袋を持った渚くん

聖くん、本当に帰って来させるなんて


「渚くん…ゴメっ…ね」

「別に構わない…それよりお前っ」


額と頬にそっと触れると彼は顔をしかめた


「熱…あがってんだろ」

「ん…わかんないけど、カラダ…痛い」

「食欲は? なんか食べたか?」

「ん、溶けたアイス…」

「…は?」


渚くんの綺麗な顔の眉間に皺がよる


「聖、通訳して」

「え、そのまんま…」

「あ゛…!?」


真顔で聖くんに通訳を求める渚くん

ちょっと待て、絶対今バカにしたよね…
しかし、残念なことに異議申し立てる元気がない


「ちーちゃん、食事とれそ?」

「ん…あんまり食べたくない」

「食べなきゃダメだよ、あとでなにか持ってきてあげるから先に薬のも!?」

「…うん」


聖くんに言われてとりあえず薬をのむ

そして、横になって目を瞑るとふたりの会話が聞こえてきた


「ちーちゃん、ただの熱だといいけど…」

「ん…」

「きのう雨に濡れたし、きっと誰かさんが裸で寝かせたりするから…」

「あ!? 関係ないだろ、むしろあんな寒いリビングで寝るよりあったけーよ」

「渚くん、少しは否定してよ…」

「…しねーよ」




ああ、もう…





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