テキストサイズ

ネムリヒメ.

第10章 眠らない夜.






「じゃ、オレ戻るね。ちーちゃんお願い」

「ああ…」



…それは聖が渚の部屋を出ようとしたその時だった


「「…っ!!?」」


離れていてもわかるくらいにベッドで眠る千隼の呼吸が急に荒くなる

慌てて振り返ると、息を乱して苦しそうに身を捩りながら悶えているようで


「っ…や……やだ…っ…」


必死になにかを拒絶している彼女の声がする


「千隼っ」


ベッドに駆け寄り、渚が頬に触れると千隼はビクリとカラダをこわばらせた

額や頬には汗が滲み、彼女の長い髪がべったりはりついている


「はぁっ…はぁっ…ゃ…やだ…」


眉を寄せて拒絶の言葉を吐きながら、苦しそうに頭を振る千隼の姿は渚も聖も見るに耐えられなかった


「ちーちゃん!!」


聖が千隼の肩を揺するとカラダがビクリと跳び跳ねる


「ゃっ…はぁっ…はぁっ…いや…だっ」


「っ…!!」


なおもなにかを拒絶しようと見悶えてうなされている彼女


「ちーちゃん、ちーちゃんっ!!」


聖が名前を呼びながら千隼のカラダを揺すり続ける

しかし、ふたりの声はまるで彼女に届いていないようだった





ストーリーメニュー

TOPTOPへ