ネムリヒメ.
第10章 眠らない夜.
…ようやく渚の部屋の明かりが消える
夜更けの薄明かりの廊下
渚の部屋をでた聖は自分の部屋には戻らず、とある部屋の前に立っていた
カチャリ…
ノックもせず静かに部屋の扉を開き、なかへ足を踏みいれる
そのまま息を殺しながら聖はその部屋の主が眠るベッドへと足を向けた
「………っ!!」
ベッドの上に横たわるその肢体は窓から差し込む月明かりに照らされて青白く光り、息をのむほど美しく見るものを魅了する
上半身になにも身に付けていないゆえに露になっているキレイな肌からは、彼独特の爽やかな香りがして聖の鼻をくすぐる
蒼白い月明かりに透ける金色の髪に高く筋の通った鼻…
程よい筋肉で締まった艶やかで美しい肉体…
聖は長い睫毛を伏せて静かな寝息をたてているその寝顔を見つめながら妖しく微笑むと
彼の少し開いた唇をそっと指でなぞった
そしてベッド縁へと静かに腰をおろすと、彼の胸元に触れ白い指でツーっと肌をなぞる
キシリとベッドの軋む音が静かな部屋に響いた