ネムリヒメ.
第10章 眠らない夜.
「葵くん 重い…」
ぐふっ…
聖は馬乗りになる葵の脇腹に器用に足で蹴りをいれる
「っぐぁ…!!」
葵は短い悲鳴をあげてベッドの上に倒れこんだ
…………
「なんで裸で寝てんの…変態」
「聖…その前になにか言うコトがあるよね」
「…ない」
「あのね、お前……オレ夜這いかけられてんだけど…。起こすのは構わないけど、もっとまともに起こせないの?」
明かりを消したままの部屋でソファー偉そうにどっかりと座る聖に、壁に寄りかかった葵が不満そうに声をあげた
「で、ちーちゃんは平気なの? 大丈夫そう?」
「ダメ…」
「ぇ!?」
即答する聖の顔にいつもの胡散臭い笑顔がないコトに気づく葵
「熱がどうのこうのじゃなくて…ココロが不安定すぎる」
「そっか…彼女…夜眠れないだってね」
「ん…」
「きのうも夜中起きちゃって、怖いって泣きながら呼吸困難起こしてた」
「今も…」
「………」