ネムリヒメ.
第10章 眠らない夜.
「ちーちゃんにはこっちにきてからいっぺんに色んなコトがありすぎて…
会いたかった楓くんはいないし、記憶は飛ぶし、それに追い討ちをかけたきのうの雅…」
「それから…毎日のようにうなされて起きて過呼吸になって、睡眠不足のうえに体調崩して高熱か…」
聖も葵も話していて辛くなって顔を歪めた
「こんなんじゃカラダもキツイけど、その前に精神的にもたないよ…」
「っ…あんな苦しくて辛そうな顔見るくらいなら、無理やり抱いて腕のなかで泣かれた方がまだマシ…」
「っ…聖…!?」
「………あはっ♪ なーんて、葵くんみたいなコトはしないけど」
しばらく沈黙したあと、そう言いながらいつもの笑顔を葵に向ける聖
しかし、その笑顔は一瞬として消え彼の栗色の瞳が妖しい光を放ち口元がニヤリと歪む
その表情になにかを察した葵は鋭い視線を聖にむけた
「聖…なにが言いたいの」
「なにがって!?」
ふたりの視線がギラギラと激しく絡み合った
「……やだな、そんな怖い顔して」
「っ…聖!!」
軽くはぐらかそうとする聖に葵が突っかかる