ネムリヒメ.
第11章 体温計と風邪薬.
…っ!!
雅くんを含め全員が渚くんの顔をみる
「体温計と薬…オレの部屋にあるから出てけ」
「…っ!!」
渚くんは思い切ったような人を刺すような視線を雅くんへ向ける
「…チッ!!」
思いきり舌打ちをしながらダイニングを出て行く雅くん
…バタンっ!!
大きく扉の閉まる音がする
「……ちーちゃん、ゴメン…」
そして、静まり返ったダイニングに葵くんの声がポツリと聞こえた
「………」
「………」
「………」
「………っ」
……重い
一気に重くなる空気
こんな時、なんて言ったらいいんだろ…
残念ながらアタシの言葉の辞書にそれは載っていなくて、黙ったままみんなの顔を見る
渚くんも… 葵くんも…
聖くんも…黙ったまま俯いていて、どうしていいかわからなくなって滲んだ涙もどこかへ引っ込む
「千隼、悪い…」
しばらくして顔をあげる渚くん
「……うん」
だけど、あれ…!?
…なんかへん!!