ネムリヒメ.
第12章 アイスクリームシンドローム.
ボーッとしながら高い天井を見つめる
…で、ここ誰の部屋だっけ!?
自分のベッドより肌に馴染むこのベッド
そう言えばさっきから隣が温かい気がする
誰かいるの、って…!!
一瞬、背中がゾッとした
頭が一気にクリアになって 寝起きとは思えない勢いで寝返りを打つ
「………!!」
心臓が一瞬止まったかもしれない
な…
なんで!?
ガバッ!!
慌ててアタシは飛び起きた
隣で静かに寝息をたてているこの部屋の主
黒い前髪の隙間に覗く切れ長の目に長い睫毛を伏せ、黒のストライプのスーツ姿のままベッドに横たわっている
乱雑に脱ぎ捨てられたラペルピンのついたジャケットがベッドの下の方にあり、ネクタイの緩められた胸元からは深いムスクのような彼の匂いがした
「なんで…」
なんでなんでなんで!?
さっきまでの怖いくらい冷静な自分はどこにいったのだろうか
勝手に行方不明にならないでほしい
勘弁して…
自然とカラダが後退る
そして…
ガクン!!
「おわっ!!」
ドスン!!…バタン!!
静かな午後の沈黙を破ったのはそんな音で、
目の前で寝息をたてているその人物に動揺したあまりベッドから落ちるという…