ネムリヒメ.
第13章 シャンパン☆ストロベリー.
事の始まりは彼のこんな一言だった
「ちーちゃん♪ 食事いこっ」
今日一番のりで帰ってきた葵くんは、リビングで膝を抱えていたアタシを見つけて早々、腕のなかに捕まえて満面の笑みでこう言った
「その前に、熱下がった? …聖にへんなコトされてない!?」
と聞かれ、さすがに『抱かれました』とは言えず体調が良くなったコトを彼に伝える
が…
「ちーちゃん、その顔なに!?」
「……!?」
「目が死んでる、可愛くない、どーしちゃったの!?」
「ふにゃ!!」
葵くんは両手でアタシの頬をつまみグイグイと引っ張る
痛いっ!!痛いっ!!
「顔色悪いよ!? やっぱり体調よくないの」
思いきり変形しているであろうアタシの変顔を心配そうな顔で覗きこむ葵くん
「あははっ、ちーちゃん可愛い」
って、ちょっとー!!
笑ってるよね、可愛いってなに
あのね、とにかくね…
「いひゃい…」
「あっ、ゴメン」
悲痛の叫びに葵くんがパッと手を離す
「…ジンジンする」
「あー、よしよしゴメンね、だってあまりにも変な顔してたから」
おいおい…どんな顔してたんだ、アタシは
「心配するでしょ」
葵くんの綺麗な指がアタシの頬を滑って、ちょんっと鼻のてっぺんを突っついた
その仕草にみるみる顔が赤くなる