ネムリヒメ.
第13章 シャンパン☆ストロベリー.
「ちーちゃんさ、こっちきてからまだ4日しかたってないのに色々ありすぎて、笑った顔ぜんぜん見てないから」
「……!!」
そんなの意識してなかったけど、忘れてたかも…
「だから、少し頭からっぽにしないと…ダーメっ」
葵くんの手が伸びて、アタシの髪をくしゃくしゃとする
彼のその言葉と手の温もりにホッとしたとたんに、トクンと心臓が甘い音をたてた
ヤバいな、アタシ…
なんでこんなにドキドキしてるんだろ
楓がいない…
アタシの頭のなか、今…葵くんでいっぱいだ…
どうしよう……!
胸がざわざわする…
これってここの魔法のせい!? それとも…お酒のせい?
「ね、約束…」
「えっ!?」
ごちゃごちゃする頭のなかとは裏腹に、ポカンと口を開けたままのアタシに、葵くんが小指をたてた右手を差し出す
「今日と明日、オレといる時は色々ごちゃごちゃ考えるの禁止ね」
あ…またバレてる
「あはは♪ちーちゃん、わかりやすいんだよ。頭のなか、ごちゃごちゃしてる時、顔が曇るから」
「あ…」
「オレでよかったらあとで聞いてあげるけど、今は頭空っぽにして楽しむのが、さーきっ。
まあ、考えるヒマなんてないくらい楽しませてあげるけど♪」
「っ…葵くん」
遠くであがる花火を映した瞳を細め、微笑む彼の手にそっと指を絡めると自然に頬が緩む