ネムリヒメ.
第14章 シュガー&スパイス
バスルームに響く悲鳴にも似た自分の甘い声
「可愛い声…」
葵くんは綺麗な指で頬に触れると、そのまま口づけ、アタシの大きく開いた膝と支えるように背中に手を添えると、ゆっくりと腰を揺らし始めた
「ふっ…んん、ッ…」
彼が動く度、バスタブのお湯が揺れる音と、それとは違う卑猥な水音が立ち上る湯気と一緒にふたりを包む
「はぁ…ホントやばっ…」
「あっ…んっ!!」
「これじゃ…っ…ナギが離さないよね…」
「ふ…ぁあっ」
な…に…
葵くんがなにか言ってるけど、快楽で真っ白にされた頭はまったく理解しようとしないし、大きく反響する自分の甘ったるい声で聞こえない
「葵…っく…んあっ、な…に……」
眉を寄せながら虚ろな目で彼を見上げる
綺麗な髪を揺らしながら、口元を歪め微笑みながらアタシを見下ろす葵くん
「…ん!?ああ…」
彼は耳元に顔を近づけると、吐息混じりの掠れた甘い声でこう囁いた
「オレだけを…みて…」
「ッ…!!」
ビクリとカラダが揺れ、心臓が鷲掴みにされるような感覚に胸がキュウっと狭くなる
しかし、
「ッ…!?」
余裕の笑みで顔をあげた彼が、妖美に微笑む前に一瞬だけ見せた切なそうな表情に瞳を奪われる
え…
そして、その表情に目を見開いたのも束の間…
彼の織り成す旋律よって生み出される快楽で目の前があっという間に真っ白にされた