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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.






「っ……………!?」




─楓に縛られた


誰にも揺らがない


アタシのココロ…─




ドキンとしたのは一瞬で…

見透かしたような彼の瞳に見つめられて、その言葉がしばらく反響するように頭のなかに響いていた


なに…それ…?


なんだか、無意識に胸の奥底にしまいこんでしまっている何かに触れられた気がして、ドクリと心臓が嫌な音をたてて一瞬、顔が強ばった気がした

でも気のせい…

そう思ったけれど、鋭い聖くんはそれを見逃さなかったのか


「ねぇ、ちーちゃんを楓くんに縛りつけてるモノってなに」

「えっ…!?」


まるで尋問するかのような含みのある眼差しを向けてくる聖くん


「なにって…アタシはただ楓が好きなだけだよ?」 


やだなぁ、聖くんってば

アタシはキョトンとして普段通りの笑顔を彼に返す


「もう、縛りつけてるとか、そんなの…ちょっと大袈裟じゃない!?」

「………」


ホント、大袈裟だなぁ…

アタシは単純に楓が好きなんだよ!?

昔から大好きで…


ただそれだけ…


ただ、それだけなの…に……



あれ……


「っ……」


どうしてだろう…


…なぜか

聖くんの言葉に胸が張り裂けそうな程にギューって痛くなる


「じゃあなんで…」


すると聖くんの瞳が悲しそうに揺れて、彼の手がそっと延びて頬に触れた




「どうして泣いてるの…?」




え……





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