テキストサイズ

ネムリヒメ.

第3章 無くしたモノ.







「………っ!!!」


そこまで聞いてない!!

急に言われても困るんですけど!!!


ガタンっ!!


心のなかでそう叫びながら再び椅子から立ち上がる



頭のなかがゴチャゴチャしていた

楓、なに考えてるの!!




でも……

落ち着けアタシ…よく考えて、アタシ


楓がここにいない今、拒否したってどうにもならないんだ…

ここを飛び出したって行く場所があるわけでもない

ましてや欠けた記憶を取り戻せる場合でもない


若干混乱している状況でなんとかそう考えられた自分にちょっと…いや、だいぶ感心する



「…うん」



しばらく考えたあと、アタシはストンと大人しく椅子に戻った


「あはっ♪エライエライ やっぱり楓くん、そこまで話してなかったんだ…もうちょっと取り乱すかと思ったんだけど」


聖くんが笑いながらポンポンと頭を撫でる


「ちーちゃんの部屋もちゃんとあるから、あとで案内してあげるねー」


「ん…ありがと」



ちょっと我慢したらきっと楓に会えるから

楓が親しくしてるなら少なからずまともな人達……だと思う

うん……そう思いたい

そうであってほしい!!


みんな こんなに親身になってくれてるし

それに…なんだか心地いい



強引に言い聞かせながら、我ながら懸命な判断だと自分に感心したアタシは

お願いします…と素直に頭をさげた



ストーリーメニュー

TOPTOPへ