ネムリヒメ.
第4章 楓─maple─.
「……ぇー、なにそれー」
「なにそれって、楓のコト♡」
うっとりして話すアタシに、葵くんがものすごく不満そうな声をあげたので首をかしげた
見れば、渚くんも聖くんも、納得がいかないとでも言うようなおかしな顔をしている
「ちょっと、みんな揃ってなにその顔…」
「だってそれ…」
「ぇ…」
「オレらの知ってる楓くんじゃないんだけど…」
「えぇっ!!?」
渋々そう答えた聖くんの言葉に目を丸くする
そんなわけないじゃん、だって楓だよ!?
アタシの大好きな楓、納得いかないんですけど!!
ちょっと待って…
なら、聞いてあげようじゃないか…
「じゃあ聞くけど、みんなの前じゃ楓って…?」
「鬼…」
ぇ…
渚くんがボソッと呟く
「悪魔…」
ぇっ!?
なぜか笑顔の聖くん
「暴君…」
えぇっ!?
最後に真顔の葵くん
「なにそれ…」
三人の放った言葉に唖然とする
「………そんな楓、知らないんですけど…」
知らない、そんな楓…知らないよ!?
「オレたちもそんな楓くんしかみたコトないんですけど…」
はぁ!?
アタシは苦笑いする葵くんと顔を見合わせる