ネムリヒメ.
第5章 シャンプーとアイスクリーム.
「…っ!!ゴメンね、こんな格好で」
「…これ着て」
部屋に戻って着替えようかと、あたふたしていると聖くんが薄手のカーディガンを肩にかけてくれる
フワッと香るアイスクリームのような彼の匂い
「あ、ありがとう」
「で…どうしたの?」
にっこり笑って彼がアタシの顔を覗きこむ
「えっと…アイス…」
って、違うだろう…アタシ
ついお礼よりアイスのほうが先に出てしまった
しかし、素直にアイスと言うアタシの顔を見て、聖くんの表情がパッと明るくなる
「ホントに!? 嬉しいな…オレも今から食べようと思ったんだよね、おいで♪」
「うんっ」
そんなに嬉しそうにされてると、なんだかこっちまで嬉しい気分になってくる
ワクワクしながら聖くんと冷凍庫を開けた
冷たい空気の先には色とりどりのアイスクリームたち
わぁぁぁお♪
何度見ても惚れ惚れしてしまう
アタシには宝箱の宝石のようにしか見えない
よくみれば 冷凍庫のアイスはぜーんぶ、赤っぽいプラスチック蓋がついた 手のひらサイズのカップアイス
そう、世界中で愛されているあのアイスクリームだった