ネムリヒメ.
第27章 ***
─ごめんなさい…
葵くんは
こんなにも、なによりも一番に、
アタシの身を案じてくれているのに…
なのにアタシは…
「…ッ、…」
─ゴメンね、葵くん…
胸が支えて言葉が出ないかわりに、
鼻の奥がツンとして、視界が歪んだ
声がだせず、思わず彼の頭を包み込むように手を伸ばすと、トスッ…っと額を胸元に押し付けられてそのままきつく抱きすくめられる
…互いに言葉はなかった
ただ存在を確かめるような温もりだけが、しばらくその場に残っていた
それから、葵くんに着替えと身なりを適当に整えてもらって一緒に部屋を出た
相変わらずの、彼の暖かく包み込んでくれるような優しさはいつでもホッとするもので、
葵くんが身支度を綺麗に整えてくれればくれるほど、その安堵感に気持ちが落ちついていくのを自覚する
…そんな矢先だった。
「…─────っ!!?」
え…
…なに?
開いた扉の先で身を包んだ空気に一気に鳥肌がたった
「…ッ!!?」
それは隣にいた葵くんも同じだったらしく…
「え、ちょっと…なにやってんの?ナギ?聖?」
部屋中に充満するその独特の匂いにみるみる彼の顔色が悪化する