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ネムリヒメ.

第27章 ***






それもそのはず

幸い、そこに人の姿はあったものの…


「あーもー、どう落とし前つけてくれるのかなぁー!!お前のせいでアイスが全然甘くないー。甘くないアイスなんてアイスクリームなんて言わないんだよ」


──ドンッ‼


え…

えっ…

えっ…!?

聖くん?



それに…


「…渚さん、もういい加減にこいつ止めさせろよ。さすがにこれ以上は見るに堪えらんねぇ」


──ドドンッ!!


雅くんに…


「………別にいい、そいつの気の済むまで好きにさせとけ。フンッ、それともお前が身代わりにでもなるか?」


──ドドドンッ!!


渚くんがいて…


「ッ…───!!?」



満ち溢れるカオスに息がつまる


明るいはずなのに真っ黒い影で覆われたスイートのリビング…

そこにはかつて見たきらびやかさなんて微塵もなければ、酸素なんてどこにも見当たらないような、

呼吸できているのが不思議なくらいなその空間で


言葉を詰まらせたアタシたちの目に写ったのは、

ソファーに長い脚を組んで王様座りを決め込み、なにかを涼しい顔で傍観しながら煙草を吹かす渚くんに…


"見るに堪えない"

そんな理由から、渚くんにそのなにかをいい加減に止めさせるように催促する雅くん


そしてそんなふたりの視線の先には…


「…全部お前が悪い。ってー、わかってんのかなー?」


いつにもなくヘラついた声色と口調で狂気で満ちた栗色の瞳を輝かせ、不気味に頬笑む聖くんがいて



その足もとには…






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