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未知夢

第9章 異動

 繁はそれを大人しく聞いていた。


 そして自分なりに、頭の中で整理をして考えていた。


(高円寺綾……隆夫ってお父さんの名前か……わかったぞ!! お父さんがここに借金かなんかしてんだな。て、ことは借金返済のために娘を売ろうとして、それを拒んだ綾ちゃんが自殺……あり得る)


 こうしてる間にも、また高円寺綾が飛び降りてしまう。


 早く出たかったが、どうにもならなかった。


 一歩でも動けば、あの刀の餌食になるやも知れない。


 繁は様子を見ながら逃げてやろうと考えた。


 だが、少し前に全力で走っているため、足がだるく震えている。


 走って逃げるなんて、無理だ。


(てか、これからどうなるんだ? まさか……コンクリートに……)


 自分の恐ろしい結末ばかりを考えてしまう。


 その度に喉元まで何かが上がってくる。



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