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未知夢

第9章 異動

 その時……。


『ガチャ』


 筋肉質で背の高い、20代後半くらいの男が入ってきた。


 白いタンクトップから、絵が描かれた肌が見える。


「なんか、エレベーターにこんなん落ちてましたわ」


 男は何かを手に持ってやってきた。


 繁は何気にそれを見た。


「!!」


 驚いた。男が持っているものはまさにそれだった。


 緑色の石!


 咄嗟に、それは自分の……と、言えなかった。


「なんですかね? これ、綺麗な緑色ですよ」


「お前、これエメラルドちゃうか?」


 男達は物珍しそうに、その石を眺める。


 繁は立ち上がって、その石を見た。


「あの……すいません、僕は自然石の鑑定士してるんですが……」


 思いっきり明白な嘘。


 ただの小汚ない男。


 だが、今の繁の打開策はこれしかなかった。



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