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未知夢

第9章 異動

 繁は少し後悔した。もし、「いい加減なこと言ってんじゃねぇ!」とか、なったらどうしようと……。


「ほんとかよ!! じゃあ、これ、なんなのか見てくれよ」


 信用された。


 意外と単純な連中なのかもしれない。


 だが、ここから先の展開をアドリブと成り行きで進めていかねばならない。


 繁はその石を手に取った。


 そして、細かい所を見るフリをする。


「ん〜〜、ルーペが今は無いのでハッキリとはわかりませんが、エメラルドに似てますが、これは質的に言えばサファイアに近いですね。はい」


 一人一人の顔色を窺いながら話を進めた。


「価値はどのくらいやろ?」と、黒いシャツを着た男が言う。


「珍しい石ですが、エメラルドやサファイアほどの価値はなく非常に安価だと……工芸品とかによく使われますね」



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