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未知夢

第3章 酒席

 そうこう言ってるうちに生ビールの大ジョッキが2つ、目の前にきた。


 森屋はジョッキを手に取ると、少し前に身を乗り出した。


「滝、再会を祝して乾杯しよう。今日は俺も飲むよ」


「えっ!? 仕事は?」


「いや、今日はもういい。店の味を確かめるのも仕事の内だし」


 そう言いながら、従業員に身振り手振りで、おしぼりが出ていないと注意をする。


「おいおい、従業員がかわいそうだよ。俺は客じゃないんだぜ」


「その方がより良い仕事をするってもんだ。乾杯しよう」


「ま、いただくか」


「遠慮するなよ。じゃんじゃん飲んで食ってくれよ。じゃ、再会を祝して、乾杯!!」


「乾杯!! 頂くよっ!!」


 二人はグイッとキンキンに冷えたビールを、喉に流し込んだ。


 火照った体にビールが染み渡る。


「んっかぁーーっ!! しみるなぁ!!」


 繁は体全体で美味さを表した。


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