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未知夢

第3章 酒席

 森屋も一気に飲み干すと、爽快な笑顔を見せた。


「なんか、昔の仲間と向かい合わせで酒を飲むのって楽しいな」


「てめぇの店じゃねぇか」


「だからだよ……こんな立場になると、なかなかそういった機会が無くてさ」


「簡単じゃねぇか。誰か誘って飲みに行けばいい話だ」


 繁はそう言ってジョッキを空にすると「ビールちょうだい」と、注文した。


 遠慮の欠片も見せなかった。


 ビールのおかわりと共に、料理が運ばれてきた。


「ビールお待ち!! こちらは焼き鳥盛り合わせと鶏軟骨唐揚げでございます」と、二人の前で店員が並べる。


 繁は笑顔で指差した。


「出た!! 280円!!」


「値段で言うなよ」


 繁はさっそく箸を割り、軟骨を口に入れる。


「アチッ……うんまっ!! 外側のやわらかさと、中のコリコリ感がたまらん」


「材料にはこだわってるからな。大衆食堂とは違うだろ」


「ほんと、違うなぁーーっ!! んまい!!」


 恍惚の表情で味わった。



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