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未知夢

第10章 身心

「で、教えてくれよ。なぜ戻れない。この世界はなんなんだ、夢か現実か?」


 心は怪しい笑みを浮かべると、ジッと繁の顔を見た。


「俺、そんな顔をすると結構、男前だな」


〔言う前にチャチャらないでくれ……お前がいるこの世界、夢ではない。だが、過去でもない〕


「どういう意味だ?」


〔幻覚だ〕


「はっ?」


 繁は頭を傾げた。


「いや、幻覚って……ここは10年前だぜ」


〔いま、お前は2025年の現代で幻覚を見ている。お前の部屋におっさんがいたのも、管理人が言ったことも全部幻覚。お前は釈放されてから、所々で幻覚を見ながら過ごしていたんだ〕


「訳わかんない、日本語で喋ってくれ」


〔思いっきり日本語だと思うんですけど……〕




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