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未知夢

第11章 確保

 繁の体は、横になったまま宙に浮いている。だが実際は……。


 布団の上に2本の足で立ったまま直立不動で眠っていた。


 普通は横になって、寝ている状態で夢を見る。だが、繁は眠ったまま強引に立ち上がり、未知夢に現れる3つの夢塊をすべて取ろうと考えた。


「もう、いいかな。おっとっとぉ……」と、未知夢の中の繁は、体位を崩し、暴れるようにして立ち上がった。


 実際は布団に倒れこんだだけだった。


「こんなにも早くチャンスが訪れたんなら、すべて手にいれないとな」


〔初めてだ……3つ全部を獲った者は……〕


「そっか。さぁ、心さん。あんた、本当に俺の心なのか?」


〔あ? あぁ、もちろんもちろん餅の論〕


「お前、嘘だろ」


〔!!〕


 繁はそう言って左手に札束と石を持ち、右手で女体を抱えながら胸を揉んでいた。


 心の声は、しばらく何も言わなかった。



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