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未知夢

第12章 好機

 顔を洗い、歯磨きをした後、破壊して砕けた目覚まし時計をビニール袋に詰める。


 ブルーのアロハシャツに白い短パン姿になると、繁は財布と鍵、砕けた目覚まし時計の入った袋を手に外へ出た。


 アパートから出ると、フラフラと歩きながら商店街に足を運ぶ。


「播岡時計店」



 一軒の時計屋さんの中に入る。


「いらっしゃいませ」


 眼鏡をかけた60代の男性主人が声をかけた。


 繁は半開きの目で時計屋の主人を見た。


「あの……これを修理してください」


 繁は砕けた目覚まし時計が入った袋を差し出す。


 主人は袋の中を見て戸惑った。


「あの……失礼ですが、買った方がやすいし、手っ取り早いかと……」


「……今の、日本語?」


「……サウジアラビア語に聴こえましたか?」


「ちくしょう、立派に返してきやがる……で、一番安いのでいくら?」


 主人は軽くため息を吐くと、商品棚に飾られている10センチ四方の青い時計を手にした。



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