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未知夢

第12章 好機

 主人の表情は変わらないが、徐々に軽い舌打ちが聴こえてくる。


「どうします? こちら、『おはようコール瑠樹亜(るきあ)』お買い上げですか?」


 繁は財布の中を見た。どう見ても紙の金額が少なすぎる。


「ちょっと待って……2000円くらいにはならない?」


「ならないねぇ」


「じゃ、壁に投げても壊れない時計は……」


「壁の強度によりますが」


「ご主人、素晴らしい。あなたに会えてよかったよ」


 繁はそう言い残すと、店から逃げるように出て行った。


「くそ……やっぱ高いな……てか、あの夢、未知夢じゃねえのかよ……金や女はどこ行ったんだよ!! やっぱ、あれそのものが、夢か幻覚だったんじゃないのか? ふざけんな、くそっ!!」


 時計屋の主人が出てきた。


「出来れば、店の前で言わないでいただきたい!」



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