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未知夢

第12章 好機

 その場所から約10メートル先に、鞄の専門店が見える。


 腰を低くして、腹痛を我慢する忍者の様に鞄の店に近寄って行く。


 小さな店に溢れるくらいに数多くの鞄が飾られている。


 繁は黒い大きめのボストンバックを手に取ると、鞄の中に札束を詰め込んだ。


 そして、その中から2万を引き抜くと、店の中にいる50代くらいの女性を手招きで呼んだ。


「はい?」


 女性は訳もわからず繁に近寄った。


「あの、この鞄ちょうだい。これで……お釣りはいらないから……」


 繁はそう言うと2万円を渡して去って行った。


 女性はポカンと繁を眺めていた。


「私、客なんだけど……」


 ちなみに、そのボストンバックは、26000円だった。



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